手から生まれる結晶

Interview
小駒 眞弓

白磁に連続した直線の彫り。その上にガラス釉薬を施し、作家の行為である「彫り」を永遠に閉じ込める。それはまるで、自然界における「結晶化」のよう。

他のどこにもない小駒さんの作品は、「手から生まれる結晶」をコンセプトに制作されています。

創作への思いと愛用の「Arts&Crafts」について、アトリエの風景と共にお届けします。

1.作家として活動を始めたきっかけを教えてください。

小さい頃から工作や粘土遊び、泥遊びが大好きで、自分はきっと何かを作る職業になるだろうと漠然と考えていました。今も、その頃と同じようにものづくりを続けているという感じです。

2.作家として最初に制作したアイテムを教えてください。

陶器のネックレスだったと思います。
今は磁土を中心としたジュエリーを制作していますが、当初は陶土も使っていました。

3.制作するうえでのインスピレーション、
大切にしていることはありますか?

自分が好きなもの、気になってしまうものに関しては、どんなものであれ積極的に自分の中にインプットしていこうと思っています。私は石や鉱物が好きなので、成分や地質のことなどを自分なりに学んでいます。

4.制作する上で大変なこと、
苦労していることはありますか?

釉薬の溶け方や土の表情は、その100%を作り手がコントロールできるものではありません。
自分の予想と違うものや、はじめてのテクスチャーが生まれてきたときに、それがただの失敗なのか、自分の表現に新しく活かせるのかを判断するのがとても難しいです。

5.ご自身の作品をどう楽しんでいただきたいですか?

私は「結晶化」という言葉を軸に制作しています。自然現象である「結晶化」は、人の行為や時間の積み重ねに感じる時があります。土に模様を彫るという連続した行為の蓄積が私なりの「結晶化」であり、上に重ねたガラス釉が彫りの模様をより美しく浮き立たせてくれます。彫った模様を釉薬のガラスに閉じ込め、深い水の底に自分の行為が沈んだように封入されて生まれる、触れられない景色のようなもの。
自分の意識や、手の中でものを作る時間が結晶体になっていくようなイメージを、手にした人それぞれの感じ方で楽しんでもらえたらと考えています。


わたしのArts&Crafts

同じ大学出身の羽生直記くんの小さめのフライパンです。
とても使いやすく、鉄の無骨さに羽生くんのやさしい人柄を感じる造形が気に入っています。
6〜7年前からほぼ毎日使っているキッチンでの私の相棒です。
オムレツを焼いてそのままテーブルに出しても素敵に見えるし、長年使い込んでかなり貫禄も出ているので、使わない時にキッチンの壁にかけている佇まいもとても好きです。

小駒眞弓 | UU ceramic jewelry and objects主宰

2004年 多摩美術大学工芸学科陶プログラム卒業。卒業後から作家活動を始め、2009年に「UU ceramic jewelry and objects」をスタート。「手から生まれる結晶」をコンセプトに、磁器とガラス釉薬を組み合わせたアクセサリーとレリーフなどを制作。

Instagram|@uu.ceramicjewelry.and.objects

2022.01.12

 
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